【2025年最新】生前贈与の非課税枠を賢く活用！贈与税がかからない方法と失敗しないための注意点
「自分が元気なうちに、財産の一部を子どもや孫に渡しておきたい」「将来の相続税負担を少しでも減らしたい」―― このようなお考えから「生前贈与」を検討される方が増えています。生前贈与は、計画的に行うことで、スムーズな資産承継と相続税対策の両方を実現できる有効な手段です。
しかし、生前贈与には「贈与税」という税金が関係してきます。良かれと思って行った贈与が、かえって高額な税負担を招いてしまうケースも少なくありません。そうならないためには、贈与税の仕組みを理解し、国が設けている様々な「非課税制度」を賢く活用することが不可欠です。
この記事では、生前贈与を成功させるために知っておきたい贈与税の基本から、活用できる非課税制度の種類、そして贈与を行う上での重要な注意点まで、2025年現在の最新情報に基づいて分かりやすく解説します。
まずは基本！「贈与税」の仕組みを知ろう
- 贈与税とは？：個人から財産（現金、不動産、株式など）を無償でもらったときにかかる税金です。
- 誰が払う？：財産をもらった人（受贈者）が納税義務者となります。
- いつ計算する？：1年間（1月1日～12月31日）にもらった財産の合計額に対して計算します。
- 基礎控除（暦年課税）： 贈与税には基礎控除額が設けられており、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下であれば、贈与税はかからず、申告も原則不要です。多くの生前贈与で活用されている基本的な非課税枠です。
生前贈与で使える！主な非課税制度の種類
基礎控除110万円のほかにも、特定の目的や条件を満たすことで利用できる贈与税の非課税制度があります。代表的なものを紹介しましょう。
1. 暦年贈与（基礎控除110万円の活用）
最もシンプルで活用しやすい方法です。毎年110万円の範囲内であれば、何人に贈与しても贈与税はかかりません。例えば、子ども2人と孫3人の合計5人に毎年110万円ずつ贈与すれば、年間550万円、10年間続ければ5,500万円もの財産を非課税で移転できます。 ただし、毎年決まった額を贈与し続けると「定期贈与」とみなされるリスクや、相続開始前7年以内（※）の贈与は相続財産に加算されるルールがある点には注意が必要です。（※2024年1月1日以降の贈与より適用。それ以前は3年以内）
2. 相続時精算課税制度
原則60歳以上の親や祖父母から18歳以上の子や孫へ贈与する場合に選択できる制度です。累計2,500万円までの贈与については贈与税がかからず、相続発生時にその贈与財産を相続財産に加えて相続税を計算します。 【2024年改正ポイント】 この2,500万円の特別控除枠とは別に、年110万円の基礎控除が新設されました。年110万円以下の贈与であれば、相続時精算課税制度を選択していても申告不要で、かつ相続財産への加算も不要となり、使いやすくなりました。 一度選択すると暦年課税に戻れないなどの注意点がありますが、収益を生む不動産などを早期に移転したい場合などに有効なケースがあります。
3. 夫婦間の居住用不動産の贈与（おしどり贈与）
婚姻期間20年以上の夫婦間で、自宅不動産やその購入資金を贈与する場合、最高2,000万円まで非課税となる制度です。暦年贈与の基礎控除110万円と併用できるため、最大2,110万円まで非課税で贈与できます。
4. 住宅取得等資金贈与の非課税措置（※期限あり）
子や孫がマイホームを新築・購入・増改築するための資金を親や祖父母が贈与する場合、一定額まで非課税になる制度です。省エネ性能など住宅の種類によって非課税限度額が異なります（現行は最大1,000万円）。適用には所得制限などの要件があり、令和7年（2025年）12月31日までの贈与が対象です。
5. 教育資金の一括贈与に係る非課税措置（※期限あり）
30歳未満の子や孫の教育資金（入学金、授業料など）として、信託銀行などの金融機関を通じて最大1,500万円まで一括で非課税贈与できる制度です。ただし、30歳到達時の残額には贈与税がかかるなどの注意点があります。令和8年（2026年）3月31日までの契約が対象です。
6. 結婚・子育て資金の一括贈与に係る非課税措置（※期限あり）
18歳以上50歳未満の子や孫の結婚・子育て費用（挙式費用、出産費用、保育料など）として、金融機関を通じて最大1,000万円まで一括で非課税贈与できる制度です。50歳到達時の残額には贈与税がかかります。令和7年（2025年）3月31日までの契約が対象です。
このように、生前贈与には様々な非課税制度がありますが、それぞれに細かい適用要件や手続きがあり、ご自身の家族構成や財産状況、将来の相続税の見込みなどによって、どの制度を選択するのが最も有利かは異なります。また、税制は改正される可能性もあるため、常に最新の情報を確認することが重要です。
どの制度を活用すべきか、具体的な手続きはどうすればいいのか、また税務署に否認されないための注意点は何かなど、専門的な判断が必要となる場面も少なくありません。生前贈与を検討される際は、自己判断で進める前に、税務の専門家である税理士に相談するのが最も確実と言えるでしょう。詳細については、https://kitamura-tax.com/ のような専門家のウェブサイトで情報を集めたり、直接相談してみることをお勧めします。専門家は、あなたの状況に合わせた最適なプランニングと、円滑な手続きをサポートしてくれます。
生前贈与で失敗しないための重要注意点
非課税制度を利用する場合でも、以下の点には十分注意し、後々のトラブルを防ぎましょう。
- 贈与の証拠を明確に残す: 「言った」「言わない」の水掛け論や、税務署からの指摘を防ぐために、贈与契約書を作成することが非常に重要です。面倒でも、贈与の都度作成しましょう。また、現金の受け渡しではなく、銀行振込を利用し、お金の流れを記録として残すことも有効です。
- 「名義預金」とみなされない: 子どもや孫の名義で口座を作り、そこにお金を振り込むだけでは贈与と認められない場合があります。通帳や印鑑を親（贈与者）が管理していると、それは「名義預金」とみなされ、相続時に贈与者の財産として扱われてしまいます。口座の管理は受贈者自身が行い、自由にお金を使える状態にしておくことが必要です。
- 相続開始前の贈与加算ルールを理解する: 暦年贈与の場合、贈与者が亡くなる前7年以内に行われた贈与は、原則として相続財産に加算されます。相続時精算課税制度を利用した贈与は、期間に関わらず全て加算されます。これらのルールを理解した上で計画を立てましょう。
- 特例制度の要件と手続きは確実に: 各非課税特例を利用するには、年齢、所得、資金の使途、住宅の条件など、細かい要件を満たす必要があります。また、金融機関との契約や税務署への申告が必要な場合がほとんどです。要件漏れや手続き忘れがないよう、事前にしっかり確認しましょう。
- 二次相続も視野に入れる: 例えば、父から母への贈与は税制面で優遇されていますが、その後母が亡くなった場合（二次相続）、子どもたちの相続税負担が結果的に重くなるケースもあります。目先だけでなく、家族全体の長期的な資産承継を考えて計画することが大切です。
まとめ：専門家と相談し、計画的な生前贈与を
生前贈与は、上手に活用すれば非常に有効な相続税対策となりますが、その方法は多岐にわたり、注意すべき点も少なくありません。安易な自己判断は、かえって問題を複雑にしてしまう可能性があります。
大切な財産を円満に、そして賢く次世代へ引き継ぐためには、ご自身の状況を正確に把握し、専門家のアドバイスを受けながら、長期的な視点で計画的に進めることが何よりも重要です。まずは信頼できる税理士に相談することから始めてみてはいかがでしょうか。